こんにちは、ケイです。
今回は、薬学部に通っている私からの視点で、
受験生に向けた大学分析をしていきたいと思います。
本記事では、大阪大学薬学部についての分析を行っていきたいと思います。
分析の後には、大阪大学薬学部の入試情報も載せていきます。
それでは、最後まで読んでいってくださいね!
大阪大学について
大阪大学薬学部の分析を行う前に、まずは大阪大学について紹介します。
大阪大学は、大阪府にある国立大学で、
- 豊中キャンパス(文、法、経、理、基礎工学部)
- 吹田キャンパス(人間科学、医、薬、歯、工学部)
- 箕面キャンパス(外国語学部)
以上3キャンパスがあります。3キャンパスとも大阪府の北部に存在しています。
学部は合計で11学部・24学科あり、学部併合によって、ここまで規模の大きな大学になりました。
大阪大学は、旧帝大の1つであり、国公立大学の受験において、”東京一工”の次に難関です。
大阪大学薬学部について
ここからは、大阪大学薬学部の方針や、入試情報について書いていきます。
大阪大学薬学部の方針について
大阪大学薬学部は、2018年度入学までは、
- 薬学部・薬学科(6年制)
- 薬学部・薬科学科(4年制)
と、6年制と4年制が分かれており、入試時点でも別々に募集を行っていたのですが、
2019年度入学からは薬科学科の募集が無くなり、薬学科の募集だけになりました。
受験生にとっては、6年制は薬学部国家試験の資格をとり、4年制は研究者を目指す、という認識をしている方が多いかと思います。
そのため、大阪大学では研究者の育成をしないのか、と思うかもしれませんが、そうではありません。
むしろ真逆で、6年制薬学部に一本化することで、4年制薬学部の問題点を解決し、より高度な知識を持つ研究者の育成を目指しているのです。
「新全6年制薬学教育」について
大阪大学は、2019年度入学から「新全6年制薬学教育」というシステムを導入しました。
これは、
- Pharm.Dコース
- 薬学研究コース
- 先進研究コース(原則推薦入試入学者のみ)
この3つのコースを設定しています。ここからは、これら3コースの詳細について解説していきます。
各コースで異なる点について
これら3コースで変わってくるポイントは、主に3点です。
- どんな学生を育成していきたいか(コースの目的)
- OSCE/CBTや、病院実習の時期
- 行くことのできる研究室
※OSCEやCBTとは、実務実習を行うだけの知識と技能が備わっているかを確認するテストであり、これに合格しなければ実務実習を行うことはできません。
これらのポイントに着目して、解説していきます。
Pharm.Dコースについて
Pharm.Dコースは、一般入試で入学した人が、3年次進級時に行われるコース選択により行くことができます。
このコースの目的は、「研究型高度薬剤師」を育成することです。
つまり、このPharm.Dコースが、従来の、薬剤師国家試験の合格を目指す6年制薬学部に近いものとなっています。
Pharm.Dコースのメインは臨床なので、実務実習が始まる前の、3年次から臨床の現場に行って患者さんと接する機会があります。
しかし、「研究型」とついているように、研究を行うスキルを持った薬剤師の育成を目指しています。
そのため、研究にも力を入れており、他大学よりも早い時期である、3年次から、研究室に配属されます。
一般的な6年制薬学部では、4年次に研究室配属されるため、1年早く研究を始めることになります。
Pharm.Dコースで行くことのできる研究室は、主に医学部や歯学部、附属病院、臨床や医療に特化した薬学部の研究室となっています。
また、Pharm.DコースのOSCE/CBTは、他大学の6年制薬学部と同じである4年後期、病院実習は5年前期に行われます。
薬学研究コースについて
薬学研究コースは、Pharm.Dコースと同じく、一般入試で入学した人が、3年次進級時に行われるコース選択により行くことができます。
このコースの目的は、基礎薬学研究を通じて社会貢献ができる、「創薬研究者」を育成することです。
つまり、薬学研究コースは従来の、4年制薬学部+修士課程にあたると言えます。
他大学の4年制薬学部にない利点としては、
- 6年制薬学部なので、薬剤師国家試験の受験資格を得ることができる
- OSCE/CBTは5年後期、実務実習は6年前期であり、他大学では行われる大学院修士課程の大学院試験がないため、研究室配属の3年次から2年半、連続した研究を行うことができる
これが大きなメリットということができます。
薬学研究コースで行くことのできる研究室は、化学薬学や生命薬学、医療・衛生学などの基礎薬学の研究室となっています。
先進研究コースについて
先進研究コースは、推薦入試で入学すると、入ることのできるコースです。
先進研究コースは、薬学部6年間と大学院博士課程4年間の、合計10年間を一貫としたコースとなっています。
先進研究コースは、世界で活躍できる一流の「薬剤師博士」を養成することを目的としています。
このコースの特徴としては、
薬学部に4年間通ったあと、大学院博士課程に飛び入学して4年間過ごし、(薬学部は休学扱い)その後、薬学部に復学して5,6年を過ごす
という、独自のカリキュラムを組んでいる点です。
OSCE/CBTは薬学部5年後期、実務実習は6年前期(つまり9年目の後期と10年目の前期)に行われるため、研究室配属される3年前期から、9年目の前期までの、6.5年間もの長期間、連続した研究を行うことができます。
また、途中の、4年間の大学院博士課程の授業料については、大学から給付されるのも良いポイントですね!
一般入試で入学した人は、原則としてこのコースに行くことはできないので、
一流の薬学研究者を目指す人は、推薦入試で入ることをおすすめします!
大阪大学のメリットについて
世界に通ずる研究力がある
大阪大学は、世界学術機関ランキングで、「研究の質とイノベーションへの広義の影響度」による評価が国内1位(世界33位)となっており、研究の質が世界レベルに高いです。
そのため、多額の研究費を獲得している研究室も多く、設備も最新のものが多いです。
研究者の道に進むのであれば、研究の質の高い、大阪大学を選ぶメリットは大きいと思います!
大阪大学薬学部の入試について
ここからは、大阪大学薬学部の入試の情報について書いていきます。
注意点について
先述の通り、大阪大学薬学部には、4年制の募集はありません。
また、一般入試で入るか、推薦入試で入るかによって、行くことのできるコースが異なります。
特に推薦入試を考えている人は、入学から卒業まで10年間、学生生活を送ることが確定しますので、自分の将来についてよく考えておきましょう!
昨年度入試からの変更点について
昨年度入試からの変更点は2点あります。
- 前期試験に、新たに小論文と面接が追加された
- 前期試験の2段階選抜(足切り)の実施の基準が、4倍→2.5倍になった
どちらもとても大きい変更点となっております。
特に、面接については、個別試験の配点に関係はないのですが、募集要項には、
「面接の結果によって、薬剤師及び薬学研究者になる適性に欠けると判断された場合は、筆記
試験の得点に関わらず不合格とします。」
このように書かれており、心して挑む必要があるでしょう。
足切りについて
これまでは、倍率が4倍を超えたときに、2段階選抜(足切り)を行う、とされていたので、薬学部で足切りが実施されることはほとんどありませんでした。
しかし、今年からは、倍率が厳しくなり、2.5倍から実施することになりました。
去年、おととしの入試の倍率を見ると、約3.5倍となっており、
今年度入試で足切りが実施される確率は非常に高いと思われます。
共通テストも、手を抜くことはできないでしょう。
偏差値について
河合塾のデータによると、
- 薬学科 共通テスト得点率 80% 偏差値 62.5
このようになっています。
共通テストは今年度入試が初めてであり、予測がつかないため、
特に共通テスト終了後に、共通テスト得点率が大きく変わることが予想されます。
例年センター後に使うことができるようになる、バンザイシステムなどを利用して、共通テスト得点率の目安を知っておくとよいでしょう。
一般入試
一般入試の日程はこのようになっています。
- 出願期間 令和3年1月25日~2月3日
- 学力検査実施日 2月25,26日(前期日程)
- 合格発表日 3月9日
薬学科(6年制)
- 日程 前期日程のみ,(2月25,26日、26日は小論文と面接)
- 定員 65名
- 英語外部試験 利用しない
- 出願方法 Web出願
- 2段階選抜(足切り) 志願者数が募集人員に対して2.5倍を超えたときのみ実施
各テストの配点・科目
国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 外国語 | 合計 | ||||||||||
共通テスト | 国語 | 世B | 日B | 地B | 倫政 | 数1A | 数2B | 簿 | 情報 | 物理 | 化学 | 生物 | 英,(他言語) | ||
● | 選択1科目 | ● | 選択1科目 | 選択2科目 | ● | ||||||||||
100 | 50 | 50 | 50 | 100 | 50 | 400 | |||||||||
個別試験 | (数3含む) | 選択2科目 | ● | 小論文 | |||||||||||
250 | 250 | 150 | 50 | 700 | |||||||||||
合計 | 100 | 50 | 350 | 350 | 200 | 50 | 1100 | ||||||||
備考 | ●は必須科目、×は選択不可。個別試験に面接含む |
推薦入試
大阪大学薬学部の推薦入試は、学校推薦型選抜となるため、高校の校長からの推薦状が必要となります。
また、学部~博士課程の10年間、高度な薬学研究に打ち込める人材を求めていますので、それ相応の強い願望と高い学力が必要になると思われます。
1次選考では、志願人数が募集人員の2倍を超えたときに、共通テストの成績と、調査書などの出願書類をもとに合否が決められ、
2次選考では小論文と面接、共通テストの点数により合否が決められます。
定員は15名となっています。
日程は以下の通りです。
- 出願期間 令和2年11月2日~11日
- 共通テスト成績請求票提出期限 12月23日
- 1次選考合格発表 2月10日
- 2次選考 2月13日
- 2次選考合格発表 2月16日
配点や科目は、以下の通りとなっています。
国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 外国語 | 合計 | ||||||||||
共通テスト | 国語 | 世B | 日B | 地B | 倫政 | 数1A | 数2B | 簿 | 情報 | 物理 | 化学 | 生物 | 英,(他言語) | ||
● | 選択1科目 | ● | 選択1科目 | 選択2科目 | ● | ||||||||||
150 | 50 | 100 | 100 | 200 | 150 | 750 | |||||||||
2次選考 | 面接 | 小論文 | |||||||||||||
150 | 100 | 250 | |||||||||||||
合計 | 1000 | ||||||||||||||
備考 | ●は必須科目 |
過去の入試データについて
過去の入試の倍率
ここからは、過去3年分の過去の入試の情報を掲載していきます。
平成30年度入試は、まだ薬学科と創薬科学科に分かれているのですが、2学科の合計として数値を出しています。
また、平成30年度推薦入試については、方式が異なっており、参考にはならないので載せておりません。
薬学部 薬学科(平成30年度は薬学科と創薬科学科の合計)前期試験一般入試の倍率
志願倍率(志願者数/募集人員) | 実質倍率(受験者数/合格者数) | |
令和2年度入試(2020) | 3.49倍(227/65) | 3.07倍(215/70) |
平成31年度入試(2019) | 3.43倍(223/65) | 2.87倍(210/73) |
平成30年度入試(2018) | 3.09倍(201/65) | 2.44倍(191/78) |
薬学部 薬学科 推薦入試の倍率と実際の合格者数
志願倍率(志願者数/募集人員) | 合格者数 | |
令和2年度入試(2020) | 3.00倍(45/15) | 10名 |
平成31年度入試(2019) | 3.80倍(57/15) | 10名 |
過去の合格者平均点
薬学・創薬科学類の合格者の、センター平均点数と得点率、個別試験の平均点数と、合計点数の平均を載せています。
小論文については、今年度入試からの実施となるため、過去の入試では満点は1100点ではなく、1050点でした。
前期試験の合格者の点数(センター試験は400点、個別試験は650点満点)
セ試平均 | セ試得点率 | 個別試験平均 | 個別試験得点率 | 合計点数平均 | |
令和2年度入試(2020) | 342.66 | 85.7% | 411.67 | 63.3% | 758.79 |
平成31年度入試(2019) | 348.45 | 87.1% | 368.26 | 56.7% | 721.1 |
平成30年度入試(2018) | 346.72 | 86.7% | 368.75 | 56.7% | 715.47 |
過去のデータを見ると、試験の難易度にもよりますが、
合格者のセンター得点率は約86%、個別試験は50%後半から60%前半となっています。これぐらい取れば合格している確率は高いでしょう。
最後に
ここまで大阪大学薬学部について、まとめました。
ここでの情報をうのみにすることなく、必ず情報は自分で確認してください!
以下、参考資料です。
大阪大学令和3年度一般入試募集要項
https://www.osaka-u.ac.jp/ja/admissions/faculty/general/a
大阪大学令和3年度総合型選抜・学校推薦型選抜
https://www.nyusi.icho.osaka-u.ac.jp/examination/
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
進路選択の参考になれば、嬉しい限りです。
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